ドラマ「流星ワゴン」では、主人公の一雄と同い年の父(チュウさん)が現れます。
どちらも38歳。
ワゴンに乗ってタイムスリップすること自体SFで不思議なことなのですが、どうしてわざわざ同じ年齢の父親が現れたのでしょうか?
ここでは、その理由について書いていきたいと思います。
一雄が途方に暮れていた時に考えていたこと
流星ワゴンは、一雄の一家が崩壊している場面から始まります。
息子の広樹は引きこもりになり、妻の美代子は謎の外出が多くなり…
こんな状態になってもどうすることも出来ない一雄は、人生を諦めかけていました。
また、同時に「こんな時、父ならどうしただろうか?」「こんな俺を見て何を思うだろうか?」と考えます。
“38歳の父ならこの状況にどのように向き合っていただろうか”
父、チュウさんが考えていたこと
チュウさんは、一雄を男らしい人間にしたいと思っていました。
だからいつだって勝ち負けにはこだわり、一雄が諦めそうになったら「逃げるのか!」とののしったりしていました。
しかし、ただ一雄に怒鳴り散らしていたわけではありませんでした。
チュウさんは、「わしが小学校1年生の頃はどうじゃったろうか?」「こんなに弱々しかったじゃろうか?」と、昔の自分と今の一雄を照らし合わせていたのです。
現実世界のチュウさんは63歳で末期がん。
もう命も長くはありません。
でも、そんな時でも息子が見舞いに来てくれた時にはこう考えていたのです。
「わしが38歳の頃はどんなじゃったか?」
「もし朋輩(親友以上の友)だったらどげんじゃっただろうか?」
いくら仲の悪い親子でも、お互いに同じようなことを見つめることが出来たから、こうして出会うことが出来たのです。
筆者「重松清さん」の思い
筆者の重松さんにはお子さんがおり、実際に「自分がこの子の年齢の時はどうだったか?」を思い返すといいます。
まだ私は親になっていないのでそうした気持ちを知ることは出来ませんが、「どの親もこんな風に考えているのかな」と新たな発見がありました。
普段は親が考えていることなど気にも留めていなかったのですが、これを機に、自分のこれまでの生い立ちと親の苦労について考えてみようと思いました。