全豪オープン2015の準々決勝、錦織圭vsスタン・ワウリンカの試合が1月28日に行われました。
結果としては0-3とストレート負けでしたが、試合内容を観ると一方的な負けという訳ではありませんでした。
そこで、ここではどうしてワウリンカに負けてしまったのか?敗因について考えていきたいと思います。
データから読み解く試合内容
スコアについて
スコアは、
第1セットが錦織3-6ワウリンカ
第2セットが錦織4-6ワウリンカ
第3セットが錦織6-7ワウリンカ
(タイブレークは錦織6-8ワウリンカ)
でした。
この結果だけを見ると、第3セット以外は簡単に倒されているように見えます。
試合のデータについて
トータルの試合時間
2時間4分でした。
前回戦った時はフルセットまでもつれ込んだため、試合時間は4時間を超えていました。
今回はストレート負けでしたので、この時間に収まっています。
ファーストサーブの入った確率
お互いほとんど変わらず、
- 錦織圭:62%
- ワウリンカ:63%
です。
エースについて
エースとはサービスエースのことを指します。
両者のエースの本数は、
- 錦織圭:6本
- ワウリンカ:20本
錦織選手は、去年のATPツアーファイナルの時と比べるとかなりサーブが強化されているなと感じました。
その証拠にラブゲームキープもいくつかありました。
ですが、圧倒的にワウリンカのサーブが強力でした。
錦織選手は「世界的に見てもリターンのレベルは高い」と言われています。
しかし、今回はワウリンカのサーブはワイドとセンターにうまく振り分けていました。
そしてボールのスピードがとても速かったです。
エースの数が20本とはすごいことです。
ダブルフォルト(サーブミスによる失点)について
- 錦織圭:2本
- ワウリンカ:4本
錦織選手は劣勢であってもしっかりとサーブを入れていたということが分かります。
ウィナーについて
ウィナーとは、ラリーの中の、相手の取れないショットのことです。
ウィナ―のショットの本数は、
- 錦織圭:23本
- ワウリンカ:46本
と、倍の数違います。
本来ならラリー戦が得意な錦織選手のほうがウィナ―の数が多そうですが、今回は逆でした。
ワウリンカの「超強力な片手バックハンド」が何度も炸裂していました。
このショットは一気にラリーの流れを変える力を持っており、特に、
- ダウンザライン
- ショートクロス
は凄まじいものがありました。
見ていて感動しました。
アンフォースドエラーについて
Unforced Errorsとは、自分からしてしまう簡単なミスのことです。
両者の本数を見てみると、
- 錦織圭:31本
- ワウリンカ:34本
でした。
これを見るとお互いほぼ同じです。
アンフォースドエラーは通常、攻めているほうが数が多くなる傾向にあります。
攻めるほうが思いっきりショットを打つので、ミスも増えるのです。
Break Points Wonについて
ブレークポイントをどれだけモノに出来たかについてです。
ブレークポイントとは、あと1ポイントで相手のサービスゲームを勝ち取る場面のこと。
通常はサーブをする方が有利なので、相手がサーブの番のゲームで勝つことは重要なことなのです。
これについては、
- 錦織圭:1/4
- ワウリンカ:3/11
です。
なんと錦織選手は相手のサービスゲームを崩すチャンスが4回しかなく、そのうち1回しかモノに出来ていません。
(これは第3セットの第2ゲームのことです)
逆にワウリンカは11回も錦織のサービスゲームを破る機会があり、その中で3度モノにしています。
このデータから言えることは、ワウリンカのサービスゲームではほとんどチャンスはなく、錦織選手はサービスゲームで苦戦を強いられていたということです。
ネットプレーによるポイントについて
両者の本数は、
- 錦織圭:16/27
- ワウリンカ:11/13
でした。
錦織選手は27回ネットプレーにチャレンジし、ポイントにつながったのは16本。
ネットプレーで決めにいく回数が多いということは、それだけ積極的に攻めていたということです。
しかしワウリンカの数を見てみるとすごい。
ネットプレーは2回しかミスがありません。
攻めるタイミングの見極めがしっかりと出来ており、確実にボレー等でポイントを取っていたということが分かります。
これについては「さすが!」としか言いようがありません。
試合を観ていても、ワウリンカのサーブやショットが強く、錦織選手のボールがネット際に甘く落ちることが何度かありました。
そこを確実に決めていたというのも、これだけ数値が良い要因でしょう。
トータルの得点ポイント
これについては、
- 錦織圭:85本
- ワウリンカ:100本
でした。
これを見れば、決して錦織選手が圧倒的にやられていたとは言えません。
が、やはり一歩及ばず。
惜しいところでミスがありました。
最後の第3セットのタイブレーク、神レベルといっていいほど絶妙なタイミングでドロップショットを打ったこともありましたが、白帯に当たりネット。
本当に紙一重でした。
試合の中で難しいショットをいくつも決めていたのはワウリンカでした。
それでもベスト8はすごい!「お疲れさま!」と言いたい!
「お疲れさま!」「おめでとう!」
負けてしまったのは残念ですが、それでも世界でベスト8はすごいことです。
世界ランク2位のフェデラーや世界ランク3位のナダルでさえ、すでに負けています。
それだけ勝ち残るのは難しいことなのだと思います。
特に今年は例年になく、世界から注目が集まっていた錦織選手。
そうしたプレッシャーを跳ね除け、数々の強豪を倒してのベスト8です。
「お疲れさま!」「おめでとう!」と言いたいです。
多くの強豪が錦織のプレーを研究してきていた
解説をしていた辻野隆三さんも言っていました。
「今回のベスト8は意味が違う」と。
錦織選手のスーパーゾーンテニスは多くのライバルが脅威に感じています。
そして、フェレールと対戦するまでの試合ではまともにラリー戦が出来ていませんでした。
それだけ錦織とのラリーを嫌っています。
ですが、相手がしっかりと準備をしてきた中、ここまで勝ち続けることが出来ました。
プレーに柔軟性があり、それぞれの試合でうまく対応できていた証拠でしょう。
本当は錦織圭選手が優勝するところが観たかったです。
応援するほうとしても非常に悔しいです。
だからこそ、これからも応援し続けます!
「GO!NISHIKORI!」