現在、世間を騒がせている大塚家具のお家騒動。
しかしこれは単なる家族内の揉め事ではなく、今後の会社の方向性が左右される重大なものとなっています。
ここでは、大塚家具の騒動の詳細についてまとめていきたいと思います。
決着は3月27日の株主総会
大塚家具のこの争いはいつ決着が着くのかというと、3月27日です。
この日に株主総会があり、株主が父と娘、どちらをより多く支持するかで社長が決まります。
ここで、父と娘それぞれが所有している株を見てみましょう。
会長で父の勝久さん
- 自ら所有する株…約18%
- 味方の妻が所有する株…約2%
社長で娘の久美子さん
- 味方の資産管理団体所有…約10%
- 味方の大手投資ファンド(アメリカ)…約10%
決め手は他の株主
父と娘、どちらも約20%ずつの株を持っており互角です。
ということから決め手となるのは、他の株主(大手保険会社や個人投資家など)にゆだねられると考えられます。
会長の父、勝久さんはかなりの職人魂
会長の勝久さんの父はなんと、伝統工芸「桐たんす」の職人でした。
そのため、勝久さんもたんす職人の叩き上げとして育ちました。
こだわりはかなりのものです。
だからこそ、これまでのやり方を変えようとしている娘の久美子さんに大反対しているのかもしれません。
大塚家具の歴史からお家騒動までをたどる
- 1968年:長女の久美子さんが誕生
- 1969年:父の勝久さんが「株式会社 大塚家具センター」を創業する
- 1978年:都内の第一号店となる「東京店」をつくる
- 1991年:一橋大学経済学部を卒業し、富士銀行(今のみずほ銀行)に勤める
- 1993年:全店舗を会員制のショールームにする
- 1994年:26歳で娘の久美子さんが大塚家具に入社する
- 1996年:本社を【埼玉 春日部】から【東京 江東区】に変え、日本最大となる有明本社ショールームを始める&久美子さんが取締役に就任する
- 2001年:経常利益76億4600万円と過去最高を記録する
- 2007年:経常利益47億8000万円
- 2008年:14億5600万円。この年、リーマンショックの影響を受ける
- 2009年:3月に久美子さんが社長に就任。経常利益が-13億3700万円
- 2010~2013年:新しい北欧スタイルのお店(Morgen marked目黒通りやEDITION BLUE青山)をつくり、経常利益は黒字に回復
- 2014年:7月に父の勝久さんが社長に再任し、北欧スタイルのお店を閉店する。経常利益は-2億4200万円(5年ぶりの赤字)
- 2015年:1月に娘の久美子さんが社長に再任
父と娘の経営方針の違い
会長で父の勝久さん
- 高級でブランド感を重視している
- 会員制によって継続的にお客さんを取り込む
- 立地を重視し大型店を好む
社長で娘の久美子さん
- 中価格路線へ
- これまでのビジネスモデルではダメだから変えたい
- いつでも気軽に立ち寄れるような小型店も取り入れたい
もめる原因は久美子さんの大幅路線変更
2009年に社長となった久美子さんが大塚家具の改革を始める
本当は娘の久美子さんが社長に就任するのは「5年のみ」という条件付きだったのです。
そしてその後は2歳年下の長男に社長の座を譲るはずでした。
しかし、久美子さんは譲らず、そのまま社長を続けました。
※長男は父勝久さんに忠実な右腕でした
久美子さんは、
「これまでのビジネスモデルではダメ。それはデータの数値からも読み取れる」
と言い、北欧スタイルの小型店舗を展開しました。
2014年7月、業績悪化を理由に父の勝久が久美子を引きずり下ろす
大きく路線を変更し始めた久美子さんに激怒した勝久さんは、「業績悪化」を理由に久美子さんを社長から引きずり下ろしました。
2015年1月、久美子さんが社長に返り咲く
社長が選任されるまでの流れは、
- 株式総会で選任、解任
- 取締役会で選定・解職・監督
- 代表取締役社長が決定
という流れです。
1月28日に行われた取締役会で、
7人の取締役のうち、4人が久美子さんを支持し、久美子さんが社長に再任したのでした。
この時のキーパーソンが、現在、上席執行役員取締役である三女の夫です。
今までは勝久さんの方に付いていたのですが、この取締役会にきて突然久美子さんのほうに味方したのです。
そのため、4対3で久美子さんがギリギリ勝利したのでした。
大塚家の勢力図
会長で父の勝久側
- 勝久
- 勝久の妻、千代子さん
- 勝久の長男、専務&取締役の勝之
社長で長女の久美子側
- 久美子
- 二男で執行役員の雅之さん
- 二女
- 三女
- 三女の夫、取締役の佐野さん
家族の中で大きく対立しています。
これまでのやり方を貫くのか?
それとも路線変更していくのか?
2つのやり方で試すことも方法の1つだと思いますが、それをヨシとしない勝久さん。
三女の夫の裏切りなど、少しの違いで勢力が逆転する攻防。
まるで関ヶ原の戦いのような白熱戦。
今後が気になるところです。